まるでクレオパトラのような恋

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 真羽はもう頭の中が一杯一杯でなにも考えられなかった。だがこのままでは埒が明かない。  真羽は少しだけ頭を空っぽにし、制御を外した。そのとたん真羽は振り返っていた。そして次の瞬間、自分のほうから成見に抱き付いていた。 「おまえ……なんで?」  嫌いだと散々言われておいて、急に抱き付かれたら彼だって戸惑うのは当然だ。  真羽自身、この行為に対し、頭が混乱しているのだから。 「嫌いなんだろ、おれのことなんて」  成見は抱き付かれたままの姿勢で呆れているようだ。  真羽はひと言、心のままに、 「嫌いなやつに、こんなことしないよ」  と呟いた。見上げれば、目の前に成見がいる。 「そっか」  彼は少し体を離し、また唇を重ねて来た。今度は深く、痺れるほどに。  だが、彼がその先に進もうとした時、真羽は顔を上げた。 「ちょっと待って」 「ん?」 「この先は、もう少し待って」 「はあ?」  成見は鳩が豆鉄砲くらったような顔で、あんぐりと口を開けた。 「だって私まだ、成見のこと、良く知らないし」  ようやく自分の気持ちに気付いたばかりで、真羽の中でまだ戸惑いが残っていたのだ。
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