46億年分のふたり

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 よっしゃ。  今日も行ってくるか。俺の仕事に。 「そうだ。夕貴~! ベッドサイドの引き出しに手紙入れておいたから~!」  革靴に慌てて足を入れ、玄関ドアを開けた。  部屋の奥の方から夕貴の返事が聴こえる。  小さな手紙にはこう書いた。 『夕貴のヒーローでいさせてよ』と。 「はーい、ありがとう~。行ってらっしゃい~」 「行ってきます」 ――いつもの様に、満員電車で会社へ向かう俺は全く知らなかった。  玄関を出たそのすぐ後に、夕貴の手の中にあったスマートフォンの着信音が2回だけ鳴ったことを。 「お呼びだ。次はどんな任務だろう」  夕貴がそう呟いたことも――。
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