46億年分のふたり

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――昨日、自宅マンションのエレベーターに乗り込んで、いつものようにドアを閉めた瞬間、スマートフォンが着信を知らせた。  このタイミングで掛けてくる相手は一人。  思った通りに、画面には管理官(Manager)の略字「M」と表記されていた。  2回コールが鳴ってから切れる。  お呼びだ。  それから素早く自宅の32階とは違う、最上階のボタンを奥までグッと押し込む。  心做しか速く感じるエレベーター。  次の任務の話だろうか。  最上階のボタンの点灯が消え、ドアが開く。  エレベーターの箱から完全に身体が離れた所で赤外線のレーザーが俺の全身を包んだ。  きっかり5秒後に「スキャン認証終了。IDナンバー25905414」と無機質なアナウンスが聴こえ、目の前の扉が開く。  四方八方にカメラが配置された眩い白い光の通路を進み、その先にある重厚な鋼鉄製の扉の横にあるパネルに手をかざす。 ――IDナンバー25905414。土村賢三(つちむらけんぞう)です。 ――入れ。 ――失礼します。  このタワーマンションには機関の司令部が設置されている。それだけでなく、各地点の未来や過去を行き来する通用口もあり、政府の人間や俺たちの様な特殊任務の人間は、このマンションを拠点にしている。  そう。俺は常に機関の管理下にあった。
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