46億年分のふたり

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 夕貴への手紙を書き終えて司令部へと向かう。  部屋にいた管理官は身体ごとこちらに向き直すと、俺を待っていたという様な顔を見せた。 「失礼します」 「いい返事だろうな」 「私なりに真剣に考えて決めました」 「そうか」 ――俺は、弱虫だった。  小学生の頃。いじめの輪の中心で泣いているクラスの友達を助ける勇気もなく、それを遠巻きに傍観しているだけの卑怯な人間だった。  その子は――学校に来なくなった。  ショックだった。俺のせいだと思った。  守ってあげられなかった友達のためにも、この人生は人を守るために使うことを決めた。 ――誰かを守るヒーローになりたかった。  任務にあたる時だけは、幼い頃の弱虫で卑怯だった自分が、正義のヒーローに変身したかのように感じられた。  そうして誰かを守ることで、自分の生きる意味を探していたのかもしれない。  そして、がむしゃらに任務をこなしている間に、その答えはすでに手にしていたんだ。
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