第二章 M女学園の生活【木村千代乃】

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第二章 M女学園の生活【木村千代乃】

M女学園といえば、伝統と格式を重んじる由緒正しい女学園、てイメージだったけど、あたしみたいなフツーの女生徒が入れたんだから、ホントのところはたいしたことないなって感じ。 でも、クラスメイトの半分は、まさにお嬢様だ。 「ごきげんよう」なんて挨拶、今まで聞いたこともない。 それがこの世界では、当たり前に使われている。 「放課後、サロンでお茶でもいかが」とか。 なにそれ、映画かよって思っちゃう。 そういう意味では、やっぱ、あたし、浮いてるのかも。 クラスを見渡しても、大体の生徒はお嬢様。 例えば…… クラス委員の七宮月子は、まさにその典型。 黒いロングヘアかキラキラしていて、意思の強そうな大きな瞳を持ってる。気が強いんだろうな、と思ってるけど、ホントのところはどうなんだろう。 ハキハキしていて、先生の覚えもいい、典型的な優等生お嬢様。 「~~ですわ」とか「~~ですもの」なんて言葉遣いを普通にする。 やっぱ違うわ、あたしとは。 実家は歴史ある財閥らしいけど、分家だからとか本人は気にしてるみたい。 バカじゃないのっていいたい。分家だろうがなんだろうが、それだけで、本当のお嬢様じゃないの。 副委員長は真波更紗。 月子といつも一緒にいるお嬢様だけど、タイプは正反対。内気で、はっきりものを言えないタイプ。 副委員長になったのは、清水の舞台から飛び降りるつもりだったらしい。てか、キヨミズノブタイって、なに? よくわかんないけど、すごい覚悟だったってことだよね? 内気な性格を変えたいとか言っていたけど、そういうの、そう簡単にかわらなくない? って、あたしは思うんだけど。 こちらはやっぱりどことかの財閥の本家のお嬢様。お兄さんがいて、軍隊の偉い人らしい。すごいよね。もう、別世界。 ふわふわの猫ッ毛に色白の肌で、まるでお人形さんみたいにかわいい。
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