決めよう

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「じゃあ、俺はこれで。高橋さん、つかさちゃん、イベントの件よろしく頼むね」 そう言って筆耕室を去ろうとした林さんに、私は差し入れで借りたままだったステンレスボトルを差し出した。 「あ、林さんコーヒーの差し入れありがとうございました。ボトルお返ししそびれててすみません」 差し出したボトルを眺めると、林さんは不思議そうな顔をして言った。 「それ、俺のじゃないよ」 「あ、それ兄の物じゃないですか。ダンススクールのオリジナル品なんで。ほら、ここにネームが」 私の手のボトルを覗き込んだつかさちゃんが、指をさす。確かにブルーのボトルにはダンススクールの名前と『T.AIZAWA』と刻印されていた。  あのコーヒーは、徹志くんからの差し入れだったんだ。  徹志くんは中学の文化祭の時もこの前の宛名書きの時も、見守って私を支えてくれてたんだな。  やっぱり好きだ。  この気持ちをちゃんと認めよう。  次に会ったら、『好きだ』と伝えたい。 「高橋さん。じゃあ、早速なんですけど、打ち合わせお願いします。えっと書道のパネルとパフォーマンスで使う紙の相談で……」
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