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Let Me Introduce
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深夜1時、シャワーを浴びて冷蔵庫からバドワイザーの缶を取り出しプルタブを引っ張る。
僕はこのアメリカの薄くてシャバシャバした感の味わいが好きだ。
スウェットに着替え、オーディオラックに向かい、真空管のプリメインアンプに電源を入れる。真空管は暖まらないと音が出ない。LUXMANの38FDという名器だ。
暖まるまでに観葉植物に水をやる。フィカス・ウンベラ―タ、パキラ、エバーフレッシュ、モンステラ、コーヒーツリー どれも大きな鉢植えで、今夜も間接照明の中、鮮やかな緑色を輝かせている。1人部屋のマンションはさながらアンリ・ルソーの絵のような雰囲気になってしまっている。
さてアンプが暖まった頃、ティアックのレコードプレイヤーを回す。今夜もお気に入りのジャズだ。樽屋でゲットしたJICOの針から陽気なピアノが流れ出す。スピーカーは50年寝かしてあったJBLの2WAYを特注の箱に埋め込んだもの。中音域の再生音はたまらなく抜けがいい。
曲が始まれば次は椅子だ。グリーンにペイントされたレトロ調のテーブルと椅子。その椅子を引っ張って水槽の前に陣取る。暗めの部屋で60㎝の水槽だけがLEDによってまばゆい光を放っている。あたかも磨いたような水のなかでレモンラピステトラの群れが流木とアクアプラントの中を生き生きと泳いでいる。極彩色がなんとも綺麗な光を発して群れをなしている。僕はこのアクアリウムの前で椅子に座りビールを喉へと流しこむことで一日のルーティーンを終える。
2本目のバドワイザーを開け、ただひたすらにテトラの魚影を追い続ける。何も考えない時間。酒がじんわりと五臓六腑に沁みわたっていく感覚。陽気なピアノの音。深い息を飲む。
さて、今夜は何をモノ申そうか。
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