Episode.01

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*** コツコツコツ 翌日、化粧室から出てデスクに戻ろうとした矢先、廊下の向こう側から聞こえきたハイヒールの音。 反射的に私は顔を俯ける。 「おはようございます社長。今日もお美しいですね!」 「おはよう。ふふ、ありがとね三郷ちゃん」 いつもなら目の保養でその姿を拝んでたけど、昨日の今日で社長とは関わりたくないっていうか… バレないようにそーっと戻ろ。 …なんていう私の願いも虚しく ポトッ 「げ」 社長の脇をすり抜けようとしたとき、持っていたポーチの中から一つのリップがタイミングよくポトリと落ちた。 「げ、って何よ、支倉ちゃん」 「す、すいません…あの、それ…」 社長は、目の前に落ちたそのリップを手に取り、何を考えているのかジーっとそれを見つめる。 え、もしかしてそのリップちょうだいとか言われる感じ? 「…あなた、自分のパーソナルカラーをちゃんと調べた方がいいわね」 「は?」 「こーれ。あなたのお顔にはちょっと派手すぎるんじゃないの?」 「なっ、余計なお世話です!」 パーソナルカラーだと!? なんでそんなことオネエの社長に言われなきゃいけないんだ! 「あ、それと…」 リップを私に渡し、再度社長は床に手を伸ばす。 「このキーホルダー、面白い顔してるわね」
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