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「失礼します。コーヒー持ってきました」
「ありがとう支倉ちゃん。それにしても、すんごい迷惑そうな顔してるのね?」
「…当たり前です。みんなの前で話しかけるんですもん」
オネエだろうが、仮にも彼は社内一美形の大人気社長。
社長が去った後、みんなから嫉妬の眼差しを向けられた私の気持ちなんか分からないでしょうね!
「つれないわぁ~新婚なのにっ」
「…で、用件はなんですか」
「すごいスルーね。んま、いいわ。そういえば私、大事な話してなかったなーと思って」
「大事な…話?」
…あ、まただ。
お父さんからの電話のときにも感じた、あの妙に嫌な予感がする。
「私とあなた、新婚でしょう?それなのに別居は悲しいじゃない。だから…」
そう言うと、チャリッと音を立てて社長は指でひとつの鍵を回した。
「今日から支倉ちゃんは、私の家に住みなさい」
「…へっ?」
「あなたの荷物、もう既に私の家に送ってもらったから。今日は一緒に帰るわよ」
…はああああ!?
「ムリムリムリムリ!絶対ムリっ!」
いきなり何を言い出すかと思えば、久我社長と同居!?
本当何考えてんのこの人!!
あまりの爆弾発言に私は思わず彼と距離をとるけど、その距離は一瞬で詰められた。
「支倉ちゃん、私はオネエよ?心配いらないわ」
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