定年退職と魔法グッズ店

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 退職金が振り込まれるのはいつもの給料日、そして円満退職は良かったものの、たっぷり貯えた貯金がある。  ワシは贅沢しなければ、生活には困らないだけの貯金があった、これからは年金と貯金を切り崩して生活費にあてれば、とりあえず生きてゆける。  趣味がテレビのぼっちのワシが、定年退職がゴールだと思って走り続けたが、実際に仕事が無くなると、テレビはともかく見たいテレビの番組は年々減っていき、今は録画した時代劇を眺めてる。なんとも言えぬ虚無感が押し寄せてきた。  これで良いのか? 円満退職したんだぞ、計画的な貯金。ん? ワシがやりたかったこと、ん? ワシには特にやりたかったことも無かった。  よくよく考えれば仕事以外、空白人生であることに気がついてしまったのだった。仕事をして寝るだけの毎日。  なにか没頭出来る趣味を持てば良かった。後悔しても今日からやれば良い話、過去は変えられん。ワシは冒険しなかった。  安心安全の道を選んだと言える。  ぼうっと家を飛び出して散歩に出てみることにした、運動は健康に良いし、いつの間にか立ち上がった、魔法グッズのお店を見つけたワシは、魔法など単なるご都合ではないかと思ったが気になる。  通り道を過ぎようとしたが振り向く。なんなんだあの掃除のホウキの看板は、ワシの心の誘惑が凄まじい。  行きたい、行ってもムダ、行きたい、行ってもムダ、やっぱりちょっとだけ、怪しかったら引き戻せば良いだけの話し。  仕事や経験では、やってみてやっぱりダメでしたはゴロゴロしている。ワシの直感が走る、やはり気になるようだ何かがありそうじゃ。  ワシのつちかってきた直感これは仕事でも小さな機転を生むのは、実証ずみだ。ワシはインチキくさい、ホウキの看板のお店に入った。
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