好きな人の声は聞こえない

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気が付いたのは病院だった。 自転車の人が救急車を呼んでくれた。社員証を持っていたので病院から会社に連絡が行き、総務部の水口(みずくち)君が病院に来ていた。 「吉良さん大丈夫ですか? 良かった気が付いて。頭を打っているので、今日は一日入院してください。事故は会社の勤務時間内ですので、労災になります。こちらで手続きします。」 水口は、吉良の布団を直した。その時水口の手が恵に触れた。 “めんどくさいことやってくれたよな~全く。今ただでさえ忙しいのに・・・” 恵は変な声を聞いた。 ・・・何今の?・・・ 「水口さん、面倒なことすみません。よろしくお願いします。」 「えっ。いえ、大丈夫です。お任せください。」 看護婦が来た。 「吉良さん、何かめまいとか、気になるところはありませんか? 」 「少し頭が痛いというか、ぼーっとしています。」 「そうですか、これから医師が来ますからね、お待ちください。その前に、これを人差し指にはめてください。酸素フォワード計りますね。」 看護婦の手が恵に触れた。 “この2人は恋人同士ではなさそうね。会社の人かな? ” また、恵は変な声を聞いた。 ・・・まただ・・・
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