1人が本棚に入れています
本棚に追加
触れるとその人の心の声が聞こえる?・・・なんで? どうしたんだろう?? もしかしたら、頭を打ってこんな能力が・・・恵は医師や見舞の人たちで試してみた。
やはり、触れると聞こえる。その人の着ている洋服に触れても聞こえる・・・
・・・怖い・・・でも・・・使えるかもこの能力・・・
3日ぶりに会社に出社した。
皆が大丈夫? と声をかけてくれた。いつも気に入らない同僚も声をかけて来たので、例の能力を使ってみようと思った。
「あら、お怪我されたと聞いたけど、もうよろしいの? 」
わざとらしい挨拶を受けた。
「ありがとうございます。お騒がせしました。あっ、糸くず・・・取りますね。」
“ざまーみろ、どんくさいんだよお前は。”
・・・声が聞こえた・・・
やっぱりね、この人顔は優しそうだけどこんなこと思っているんだ。
「私、どんくさいので・・・」
そう答えると、驚いて同僚は「お大事に」と言って慌てて行ってしまった。
・・・さーてと、どう使おうこの能力・・・
おつかいを頼んだ野村君が声をかけて来た。
「吉良さん、大丈夫ですか? 僕がお願いしたおつかいだったから・・・心配しました。」
「大丈夫です。少し頭を打っただけです。ご心配おかけいたしました。」
「あー大したことなくて良かった。僕、吉良さんいないと仕事進まないし・・・あのでも、当分は無理しないでくださいね。」
「はい、ありがとうございます。」
「そう言いながらすみません。早速なのですが、これプレゼン用参考資料です。うちのグループのプレゼン資料を作る為の打ち合わせが明日から開始されます。目を通しておいてください。お願いします。」
野村は恵に資料を差し出した。恵は野村の指に手が触れるようにして資料を受け取った。
“あー、ホント大したことなくて良かった・・・”
・・・野村君は、表裏の無い良い人ね・・・
最初のコメントを投稿しよう!