好きな人の声は聞こえない

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3グループでのプレゼンの日時が迫っていた。役員プレゼンをして一番良かったところが次のプロジェクトを任せられるというものだった。 1グループは4人。恵は資料をまとめ、パワーポイントの資料を作る役目だった。 会議を進めると、他の2グループがどんなことをプレゼンしてくるのかが知りたくなった。うちのグループの押す部分を決めたかったのだ・・・ 恵は食堂で他グループの田中(たなか)がいるテーブルに向かった。結構食堂は混んでいて、丁度田中の隣が空いていた。 「あの・・・ここの席よろしいですか? 」 「いいよ。どうぞ・・・君、先日事故にあった人だよね。」 「あっ、そうです。」 「もういいの? 」 「はい。大したことないです。皆さんにご心配頂いて・・・」 「仕事に戻ったらすぐにプレゼン準備で大変でしょ。」 「そうですね。でもちょっと気晴らしになっていいです。それより田中さん、他のチームの人と話していて大丈夫ですか? 」 「大丈夫だよ。吉良さんだって一緒でしょ。」 「そうですね。田中さんすみません、お醤油取って頂けますか? 」 「はいどうぞ。」 恵は田中から醤油を受け取った。わざと指が触れるようにして。 “プレゼン内容なんか話さないよ。我々が〇〇のことやっているなんて思いもよらないだろう。それにボーっとしている吉良さんだから全く問題ないさ” ・・・やった! 一兆上がり。・・・
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