好きな人の声は聞こえない

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もうひとつのチームもうまく探りを入れよう。 誰に仕掛けようかな・・・ 給湯室に、もうひとチームの女性アシスタントの三木(みき)がいた。 「お疲れ様です。」 「あっ、吉良さん。お疲れ様です。」 「三木さんもプレゼン準備で大変ですよね。うちも大変で・・・決め切らないというか・・・」 「そうですよね。これ、結構査定にも響くらしいから皆必死です。」 「なんだか、男の人ってそういうのに凄く敏感ですよね。三木さんのところは、もう完成しているのですか? 」 「もう少しですかね・・・」 「あっ、三木さん、濡れますよ・・・」 恵はうまく三木のカーディガンに触れた。 “うちは、もう出来ているのよ。△△案件だとは知らないでしょう・・・うちの勝ちよ” ・・・うまくいった。みんなチョロい。さてと、これをどうチームのみんなに伝えようかな・・・ 恵は女の子の噂話ということにしてチームのみんなに伝えた。 噂とはいうものの、他のチームの内容が垣間見られたので恵のチームはそれを想定した計画に練り直した。そのおかげで、他に差をつけることが出来て恵のチームはプレゼンに勝利した。 こんなことがその後も続き、「吉良さんと組むと仕事がうまくいく。」という噂が広まっていった。
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