好きな人の声は聞こえない

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恵は佐々木が出張の時に彼女たちのランチを尾行した。彼女たちの後ろの席で女子トークを聞いた。美紗子は、佐々木との自慢話を同僚の女の子たちに可愛い顔でうれしそうにしていた。女の子たちは面白そうに聞いてはいたが、きっと本心は違うと思った。 彼女たちはランチを終えるとかわるがわるトイレに立った。同僚がトイレに行った時、恵もトイレに行った。そして女の子たちの話を個室の中から聞いた。 「ねえ、美紗子って二股かけているんでしょ。」 「えっ、そうなの? 」 「どうもね、表向きはさっき話していた佐々木さんという人だけど、銀行の頭取の息子とも付き合い始めたみたい。なんだが、エグイよね。」 「今日はいつもより派手づくりだからデートかな? どっちだろうね。 まったくさ、少し可愛いからって、男たちもわかってないよね。性悪女・・・」 やっぱり、女は怖い・・・泉は能力を使わないでも情報を得た。 今日は佐々木が出張だから、もう一人とのデートの可能性が高い・・・ 夜、恵は美紗子を尾行した。案の定、頭取の息子とやらと会っていた。食事をして、高そうなマンションに入っていった。きっとこの頭取の息子の住むマンションだ。 恵はレストランでの食事と、仲睦まじくマンションに入っていく2人の写真をしっかり撮った。 ・・・さてと、どのタイミングでこれを使おうかな・・・
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