アラタの真相

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 ワゴン車のスライドドアを開けて、バタバタと降りる私。頭を勢いよく下げて立ち去ろうとすると、坂木くんまで出てきた。 「紺野、マカロン忘れてる!」 「あ!」  受け取ると、坂木くんは頭をかいて笑った。 「俺さ、紺野の名前をなんて呼ぼうかずっと迷ってたんだ。エトジュンとオオタンとカミヤンはすぐ出てきたんだけど、紺野にコンノンって言うの、なんか変だなと思って」 「あぁ……」  たしかに、坂木くんはすぐにみんなをあだ名で呼ぶのに、私にだけ苗字呼びのままだった。 「下の名前で呼んでも大丈夫?」 「……うん」  照れくささを押し殺してうなずくと、坂木くんは車に戻りながら、眩しい笑顔を見せた。  気付くと、いつの間にかやんでいた雨。雲の隙間から射す光がキラキラと地面に落ちてくる。水たまりに映ったボブヘアの私は、案外悪くない。 「じゃあな、美尋」 「うん、バイバイ」  私は、手を振って心からの笑顔を返した。 「また明日、学校で!」 おわり ※お読みいただき、ありがとうございました! この作品はスターツ出版さんより文庫本が発売されております。 興味のある方は、手に取っていただけるとうれしいです。
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