縮まる距離

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 坂木くんは人間として優れているから、みんなから受け入れられるんだ。私みたいに地味で取り柄のないネガティブ人間は、誰からも見向きされない。  私は、引きこもり中に、友達だと思っていた四人組からの連絡が途絶えたことを思い出した。休み始めた 最初の一週間は、グループトークで“大丈夫?”と言われたけれど、一ヶ月も経たないうちに、そのグループからみんなが退出していて、メンバーが私ひとりになっていたのだ。  その後、連絡が来ることはなかった。きっと、私以外でまたグループを作りなおされたのだろう。学校の自分の戻る場所がポンとなくなってしまった気がして、再登校する気持ちが折れてしまった理由のひとつだ。  彼女たちにとっての私は、ずっとつながり続けていきたいと思えるような友達ではなかった。それが証明されたようで、私はすっかり自信を失ってしまった。引きこもっている引け目と相まって、どんどん自分を卑下するようになっていったんだ。  “多くの人に出会って、仲よくなる”なんて、選ばれた人だけが言える言葉なんだ。私なんて、出会ったところで仲よくなれる自信がない。自分にそんな価値を見出せない。 「紺野?」
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