その片手の指の一本……私です。ほぼゼロの確率にも入っています。
肩を上げてかしこまっていると、隣の坂木くんが大きなため息をついた。心底まいっている様子だ。
「まぁ、それでも自分を使われるのは嫌だから、抗議してキャラデザ変更をお願いしたんだけど」
「悪かったって何度も謝っただろ? それに、そこまで嫌なんだったら、開発会社にかけ合って、キャラを完全消去って話も出してみるからさ」
「それはダメです!」
完全消去という物騒な言葉を耳に入れ、私はとっさに声を上げてしまっていた。両こぶしを握り、腰もわずかに浮いている。
車内が一瞬しんとなり、坂木くんが数秒経ってから「……え?」と言った。そして、口もとに手をあて考えこむ仕草をしたあとで、急に口を開く。
「……あれ? もしかして、“アラタ”って……マッチングアプリの相手じゃ……ない?」
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