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「遥、姓名判断だけじゃなく、
占い全般がけっこう好きだったんだけど。
で、もし、俺達が結婚して、子供が出来たら、男でも女でも名前は‘菜月’にしようって姓名判断の本見て勝手に決めてて。
だから、ナツキの名前は、俺と遥にとって、呪いなのかも」
私が何度も呼んでいたそのナツキの名前は…。
ナツキにとっては、呪いのようなものだったんだ。
「遥は先にその呪いが解けたけど、
俺はもう少し、かな」
そう笑うナツキは、いつかホストを辞めて、
誰かと幸せになるんじゃないか、と思わされた。
「ところで、お二人さんは何飲む?」
「俺、ご存知のように色々あって、自己破産して、カードとかもないから。
あんま高い酒は無理だから、適当に安いウィスキーでも。
広子は?」
成瀬のその言葉に、私は、じゃあカンパリオレンジと言った。
ナツキは、すぐ近くに居たウェイターを呼んでいた。
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