最終章

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「カンパリオレンジと、 ドンペリプラチナ10本持って来て」 そのナツキの言葉に、私も成瀬もギョッとしてしまう。 以前、ナツキが言っていた。 そのドンペリのプラチナは、 ドンペリの中の最高峰。 以前、成瀬が頼んだドンペリゴールドよりも、それは格上で。 「あ、心配しないで。 俺の奢り。 成瀬さんの就職祝い。 だから、それ飲んだらもう二度と、この店に来ないで。 末長く、二人で幸せに」 ナツキはそう言うと、 「二人、今は付き合ってるんでしょ」 そう笑っていた。 「分かった。 もうこの店には来ない」 そう言う成瀬の言葉に、私も頷いた。 寂しいけど、もう二度と会えないと思っていたナツキに、今夜こうやって会えて、元気な姿を見れたから。 もう充分。
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