438人が本棚に入れています
本棚に追加
その軽トラの一台に、私と篤とその篤が斗希と呼んでいた人物が乗る。
その斗希さんが運転していて、
助手席に篤。
私は後ろの席で、花子を抱いて座っている。
その斗希さん、他の篤の後輩達と違って、なんというか普通。
いや、顔はけっこうイケメンなんだけど。
篤の後輩達は、篤と同じくけっこう悪さしてそうな風貌なのだけど、
斗希さんは普通に大学生とかに見える。
髪も黒いし。
「篤、お前これからはもうちょっと真面目に生きろよ」
「は?俺は今までも真面目に働いてたつーの」
篤にお説教のような事も言っていて、
本当に篤の友達なのかな?
「お前、斗希がイケメンだから、色目使ってんじゃねぇぞ!」
私がその斗希さんをジーと見過ぎていたからか、
篤が振り返りそう怒鳴る。
「べ、別に、イケメンだから見てたわけじゃないし!
篤の友達にしては、凄くまっとうそうだから、不思議で見てただけだし!」
その言葉に、斗希さんは笑っているけど、
篤は眉間の皺をさらに深くした。
「確かに、こいつは俺のダチの中では、唯一まともかもしんねぇ。
T大で将来は弁護士になるとか言ってるしよ」
T大生…。
日本最高峰のその大学名に、
絶句してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!