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「あいつ、一体何しに来たんだ?」
篤は花子を抱き、首を傾げている。
「私を見て見たかったんじゃない。
元AV女優の彼女が、親友の篤を騙していないか」
「あ?
俺はそこ迄ガキじゃねぇって。
なんでアイツに付き合う女の事迄心配されねぇといけねぇんだ?」
「私に言われても…」
「俺は、もしお前に騙されてんなら、それはそれで構わねぇって思ってるし」
「そんな事言ってるから、斗希さんに心配されるんだよ」
「うっせぇな」
外が騒がしくなり、篤の後輩達が乗ったもう一台の軽トラが、
アパートの前に停まった。
「篤さん、もう荷物運んでいいっすか?」
「ああ。適当に頼むわ。
とりあえず、全部このリビングに持って来てくれ。
広子、お前は邪魔だから、部屋の隅で花子と大人しくしてろ」
篤は抱いていた花子を放すと、外へと出て行った。
なんとなく、篤との新しい生活でガラッと私を取り囲む環境が変わり、
不安を感じてしまった。
今日も、私は篤しか知ってる人が居ないし。
「ニャー」
足元で鳴く、花子を抱き上げる。
篤と花子が居てくれたら、私は幸せなんだけど。
けど…。
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