新しい生活

5/20
前へ
/169ページ
次へ
「あいつ、一体何しに来たんだ?」 篤は花子を抱き、首を傾げている。 「私を見て見たかったんじゃない。 元AV女優の彼女が、親友の篤を騙していないか」 「あ? 俺はそこ迄ガキじゃねぇって。 なんでアイツに付き合う女の事迄心配されねぇといけねぇんだ?」 「私に言われても…」 「俺は、もしお前に騙されてんなら、それはそれで構わねぇって思ってるし」 「そんな事言ってるから、斗希さんに心配されるんだよ」 「うっせぇな」 外が騒がしくなり、篤の後輩達が乗ったもう一台の軽トラが、 アパートの前に停まった。 「篤さん、もう荷物運んでいいっすか?」 「ああ。適当に頼むわ。 とりあえず、全部このリビングに持って来てくれ。 広子、お前は邪魔だから、部屋の隅で花子と大人しくしてろ」 篤は抱いていた花子を放すと、外へと出て行った。 なんとなく、篤との新しい生活でガラッと私を取り囲む環境が変わり、 不安を感じてしまった。 今日も、私は篤しか知ってる人が居ないし。 「ニャー」 足元で鳴く、花子を抱き上げる。 篤と花子が居てくれたら、私は幸せなんだけど。 けど…。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加