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「じゃあ、今までみてぇに、寝るのはたまに一緒に寝りゃあいいじゃねぇか」
「たまに?」
毎日じゃなくて?
「俺ら付き合ったばっかだが、
この先大きな喧嘩する事だってあんだろ?
そん時、お前はこの家飛び出して、行く所ねぇだろ?」
「え、うん…」
確かに、私にはもう行く場所はない。
しいて言えば、父親の居るアパートに戻る事しか。
「部屋が2つありゃあ、お前はそん時もう一個の部屋に籠ってりゃいいだろ。
家賃は俺が払うけど、その部屋はお前のもんだし、その部屋の権利はお前にあるから」
「私の部屋…」
そのリビングの横の部屋を、振り返り見る。
篤の所だけじゃなく、そうやって私だけの居場所も与えてくれたんだ。
「それによ、これからも毎日のようにお前と寝るのも、ちょっと無理だ。
もうヤりたくて限界だしよ」
私と篤は、今も触れるようなキス以上の事はしていない。
「じゃあ、ヤればいいじゃない。
なんでしないの?
そんな我慢してまで」
欲求不満ってわけではないけど、
私もそろそろ我慢の限界だったりする。
「俺、どうでもいい女としか今迄ヤった事ねぇし。
いざ、お前とってなったら、どうしてヤったらいいか分かんねぇし。
あー、なんかまだ心の準備が出来てねぇし…それに」
「それに?」
「やっぱ、お前の事大切にしてぇし」
その篤の、私の事を大切にしたい、というのが、
私達の関係が進まない最大の理由なんだろう。
私がAVの仕事での望まないセックスを何度も経験して、
心がボロボロになっている事をきっと前からこの人は気付いているのだろう。
そして、私の病気の事もあるし。
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