若者はコーヒーと一緒に

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 久しぶりの休日。今日は疲れた身体を労ることにする。まぁ、毎回の休日がそうなのだけど。  窓を開けて、ベランダに小さなテーブルを出す。今しがた淹れたばかりのコーヒーをタンブラーに移し、雑誌を持ってベランダに出る。  暖かな陽射しが全身に注がれる。今日の風は暖かい。こんな日に休日を取れたことに、心の底から感謝する。  雑誌をパラパラ捲りながら、コーヒーを啜る。今日のコーヒーは『モカ・イルガチェフ』  エチオピアのコーヒーらしい。詳しいことはよく分からないが、俺はこの苦味が好きだ。酸味はあまり強くなくていい。店のマスターに勧められて買った。間違ってはいなかった。 「こんにちは」  空想に耽っていると、突然声が聞こえた。  声の方へ視線を移すと、あどけない笑顔が待っていた。お隣の有川さんだ。
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