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私の背中から降りた騎手さんが泣きながら、
「大丈夫だぞ!
落ち着けっ……。落ち着いて、なっ?」
って言いながら、痛みに暴れる私を宥めてくれる。
急いで駆け付けてくれた厩務員さんが泣きながら、
「っ……大丈夫だ、良く頑張ったな。
すぐに馬運車が来るからなっ……!」
いつもとは違う冷たくなった手で、私の顔を撫でてくれる。
駆け付けてくれたたくさんの人達が、私を見て泣いたり、悲しい顔をしていた。
お客さん達の啜り泣く声も、たくさん聞こえた。
私が、みんなを泣かせてしまった。
ごめんなさい。
みんな、ごめんなさいっ……。
……
…………この日。
みんなを笑顔にしたい、と言う私の願いは叶わなかった。
もう少し、で、私の願いは叶わなかった。
けれど、月日が流れてーー……。
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