愛しさの先

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愛しさの先

俺はこの人の手をぎゅっと握り込む。捕まえて俺のにしたら絶対に離さない…離せない。 俺の手を握り返し、その手にキスをするこの人を腕の中に抱え込む。そっと優しく、それでいて力強く。 『ん…大我…苦しい…けど心地いい』 なんて愛おしいんだ。この人が欲しくて堪らなくなって、そっと腕を緩めた。 まだだ。 この人も俺を堪らなく欲しがるまで。 それから俺たちは簡単な朝食を食べ、仕事とかの他愛無い会話を楽しみ別れた。 触れてもいないのにこんなに満たされるなんて…これが恋してるって事なのか。 それから俺たちは、俺の休みの前に日には夕食を共にし、あの人の家に泊まるようになった。 色っぽい雰囲気になる事もあるが、キスして抱き合って満足する。 ただあの人がキスの最中たまに、膝を擦り合わせモジモジしているのを見る。 もしかして…なんて思ったりもするが、俺は極限まで待つと決めたから何も言わない。 だけど、この人が本能に気づいて無いとしたら?ありえる…次は声かけるかな… なんて、最近は仕事中でもあの人の事ばかり考えてしまう。 『大我!』 ああ…愛しい人の声。 「星矢、来たのか」 『ああ…今日はあなたがいると言ってたから』 周りからため息が聞こえる。 『浪川さんと堤さん…いつの間にそんなに仲良くなったんですか?』 受付の蘭ちゃんだ。 『君は受付の…』 『はい!下條蘭です』 はぁ…嫌な予感。 『堤さん、頑張って通われていますね!』 「蘭ちゃん、仕事中だよ!」 『あっ!すいませーん!ちゃんとしまーす!それにしてもお二人が並ぶと圧巻ですね!筋肉イケメンと美男子!』 それに気を良くしたこの人は、俺の腕に絡み付く。
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