普通の俺は

1/1
前へ
/28ページ
次へ

普通の俺は

「違うんだ…俺がゲイで、彼を引っ張り込んだのは俺なんだ」 『ウソ…』 「気持ち悪いならそれでいい、別に言いふらしてもらっても構わない。ただ、この人を傷つけるのは許せない」 『そんな…浪川さんヒドい』 『蘭ちゃん?だっけ?普通じゃないってわかった大我はどう?キモい?』 蘭ちゃんは涙目のまま走り去って行った。 「ごめん…星矢…嫌な思いさせた」 『何で謝る?俺たち二人の事だろ?それよりいいのか?あの子あなたの事が好きだって…』 「ああ…知ってた。でも応えられないから。言っただろ?あなた以外なら誰もいらない」 『そうだな、俺もあなた以外いらない。欲しくない』 「星矢…それって…」 『ああ…やっと気づいた。俺はずっとあなたが欲しかった。俺のにしたかったんだ。あの子に取られると思うとゾッとした』 「星矢…帰ろう?」 『ふ…そうだな』 ガタン…部屋の鍵を閉めるなり、俺は星矢に齧り付いた。 『ふぁ…大我…もっとゆっくり…』 「悪い…無理だ。あなたが欲しい…」 『んん…ぷはっ、せめてベッドに…シャワーは?いいのか?』 「後でな…一緒に浴びよう」 俺はその人のシャツを破く勢いで剥いていく。その間も俺の唇は休む間もなく、その人の唇から首筋へと這っていく。 ベッドへ押し倒し、俺の唇がこの人の乳首に触れ、齧りついた瞬間… 『は…んぁっ、大我…やぁ』 史上最強の喘ぎ声だった。 「ああ…星矢…綺麗だ…」 全裸のこの人を見下ろしながら、自分も脱ぐ。 あの人が細くしなやかな腕を俺に伸ばしてくる。その手に応えたくて覆いかぶさった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加