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指輪
ふたりで歩いてると、何かと人目を引く。
『大我…俺たち見られてないか?』
「星矢が綺麗だからだよ」
『いや…女の子の目線は全部大我だ』
ブランドショップへと入る。さすが高級ジュエリー店、男二人でも丁寧に接客してくれる。
【どんな物をお探しですか?】
『マリッジリング…俺たちふたりの』
は…またこの人は…男性店員が困るだろ?と思い見るとその男性店員はふっと笑った。
あ…同類だ、直感だった。
【はい、細くていかにもなタイプかファッションタイプの好みはございますか?】
『うーん…大我?』
悩み方が可愛い。
「デザインは得意だろ?あなたに任せるよ」
『わかった』
この人はデザインから設計、なんでもこなす。
服もオシャレだし、自分を丸ごとデザインしている。その中のひとつに指輪が追加される、だからこの人の好みでいい。
『大我、ねぇ、これどう?』
ふふ…こんなにはしゃいでる。
『何笑ってんだよ〜』
「いや…星矢が可愛くてな…」
『ばーか、マジメに選べよ』
その仕草や表情のひとつひとつが愛おしくて、目に焼き付けたいんだ。
【可愛い方ですね】
俺たちの接客担当の男性店員が俺に声をかけてきた。
「そうなんですよ。可愛すぎて目が離せない。おたくも同類だろ?」
【よく分かりましたね…あまり気づかれないんですが…】
「わかるよ、ネコだろ?あの人を見る目が優しかった。タチなら必ずギラつくからな」
【さすがです。でもあの美しさなら気が抜けませんね?】
「それが、そうでもないんだよなぁ」
『こら大我、浮気してんじゃねーよ』
「はいはい、決まったか?」
俺と男性店員はクスクス笑いながら、その人へ近づく。
『ん…これとこれに絞ったんだ…大我どっち?どっちも好きだけど、絶対ペアにしたいからふたりで決めよう』
ほら…な?可愛いだろう?
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