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恋をした
そこから俺たちは、言葉少なにマシンへと移動した。
「マシンの使い方は以上です、後は自由にしていただいていいので、何かあれば声かけてください。頑張ってくださいね」
俺は一礼し、そこにいた同僚に声をかけてその場を去る。
休憩室で熱いコーヒーを入れる。
はぁ、辛い一日だな。俺は一息付いて、あの人の元へ戻る。
あの綺麗な人はランニングマシンで一心不乱に走っていた。
そこから一時間弱、俺は呼ばれることもなく。終了時刻となった。
『俺、どうでした?』
「は?」
『浪川さん、俺が走ってるのずっと見てたでしょう?』
気づいてたのか?
そう俺は約一時間、この人しか視界に入らなかった。
「ええ、とても頑張ってましたね」
『入会したら、こんな感じで自分でトレーニングするんですよね?』
「はい、パーソナルトレーニング希望でなければ。手が空いてる時は誰かがここにいますので、相談は受けれますよ?」
『じゃあ、浪川さんがいる時に来たければ?どうしたらいいですか?』
「え…私も手が空いてればここにいます」
『そうですか…今日はありがとうございました。入会手続きして帰りますね』
「はい…ありがとうございました。またお待ちしております」
どういう意味だ?俺がいる時に来たいって?
ノンケだろ?
閉館後、自分のトレーニングをしながらもずっとあの人の事を考えていた。よし、飲んで誰か抱いて忘れよう。
俺は行きつけのゲイバーへ寄った。
『あら、大我。いらっしゃい』
俺を迎えてくれるのはこれまた美しいマスター、ゲイで旦那持ち。
『どうしたの…悩ましい顔して…』
「マスター、しんどい…今日クソ美人な客が来てさ…ノンケだろうに思わせ振りなんだ」
『ふぅん、一目惚れってワケ?』
「わからない、でもその人が頭から離れない」
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