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『そうでしたか…じゃあ、俺をそうゆう目で見てる?』
「まあ…そうなりますね。私も自覚したばかりですが」
『自覚って?』
「言わせるんですか?こんな場所で?」
『二人きりです、言って』
「堤さん…あなたが好きだ」
『ありがとう、俺も浪川さんに惹かれてる…でも…そうなれるかはわからない…』
「そう思って当然です。今はそれで充分です。でももし、この先その気になったら…いや、ならなかったとしても…ちゃんと俺に話してください。どっちに転んでもあなたが好きな事は変わらない…答えが出たら、二人で考えましょう?」
『いいんですか?その…浪川さんモテるでしょう?』
「ええモテますよ。もちろん男女共に。でもあなたしか欲しくない、あなたじゃないなら誰もいらない」
『……抱きしめて欲しい…俺…最初に会った時…あなたの匂いに惹かれたんだ』
俺は堪らなくこの人が愛しくて…
この人の腕を引き立ち上がらせた。そして耳元で、脚攣ったフリして?と囁いた。
彼が片脚を上げ、顔を顰める。
そこを横から支えるフリをして抱きしめた。
「俺もだよ…俺もあなたの匂いに…やられた…今もやられてる…」
俺たちはお互いの匂いを嗅ぎ合い笑って、身体を離した。
まずは友達からと、連絡先を交換して食事に行く約束をした。
聞けば、彼はリモートで基本は家で仕事をしているらしい。打ち合わせなどでたまに出勤するだけだから時間は簡単に作れると言った。
だから俺の休み前日の今夜、二人で食事に行く。
『あれ?浪川さんお疲れ様です。今日は自トレなしですか?』
「ああ、蘭ちゃんお疲れ。今日は約束あってね」
『浪川さん嬉しそう…彼女さんですか?』
「違うよ、友達」
『ご一緒したいな…』
「ごめん…大切な友達なんだ」
『女性ですか?』
「いや…男性だよ」
俺の愛しい、大切な人なんだ。
『なんだ…そっか…じゃあ楽しんで来てください』
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