ただ好きで

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ただ好きで

見返りも求めず、理由もない… ただ好きなんだ。 そう、ただ好きなだけ。 あ…早めに行ったのに、もう来てる。 今日も相変わらず綺麗だな。こうやって俺を待つあなたを見つめていたい。 あ…気づかれちゃった。 『いつまで見つめてるつもり?』 「すいません、俺を待つあなたが綺麗で」 『あなたに会うためにここにいるのに、変な人だな』 「ふふ…俺もこんなの初めてで。どうしていいのかわからないんだ」 『それは、俺も一緒だ』 「ウソでしょ?」 『後で話すよ…とりあえず飯だ。居酒屋でも?』 「もちろん」 俺たちは、ちょっと洒落た居酒屋でビールで乾杯した。 「意外だな…ワインしか飲まないかと」 『酒は何でも好きだ』 「で?話って?」 『ああ、初めてなんだ。他人に興味を持つ事自体が…』 「は?」 『昔からモテてたよ、特に男にな。でも何も感じなかった、女性にもだ。俺は人を好きになれない人種だと思ってたんだ。だから誰かと一緒に過ごすなんて考えてもいなかった。自分以外に興味さえなかったからな』 「じゃあ、身体もまっさら?」 『ああ、童貞ってやつだ』 「マジか…あんなに敏感なくせに…」 『で?あなたも正直に話して』 「ああ…引くなよ。俺は遊び人だった。恋人は作らず、一夜の関係ってやつ…ばっかりだった」 『なぜだ?』 「セックスが好きだ。ただそれだけ、そこに愛はいらなかった。あなたに会うまでは…」 『俺に会って何が変わった?』 「心も欲しくなった、あなた限定で。あなたに会ってから誰ともヤってない」 『これからも?』 「あなたが、俺の心からいなくならない限りは…」 『ふ…プレッシャーかけんな』 「そんなつもりはない、好きになってくれるまでやれる事はする。無理矢理抱いたりは絶対しない」
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