28人が本棚に入れています
本棚に追加
ただ好きで
見返りも求めず、理由もない…
ただ好きなんだ。
そう、ただ好きなだけ。
あ…早めに行ったのに、もう来てる。
今日も相変わらず綺麗だな。こうやって俺を待つあなたを見つめていたい。
あ…気づかれちゃった。
『いつまで見つめてるつもり?』
「すいません、俺を待つあなたが綺麗で」
『あなたに会うためにここにいるのに、変な人だな』
「ふふ…俺もこんなの初めてで。どうしていいのかわからないんだ」
『それは、俺も一緒だ』
「ウソでしょ?」
『後で話すよ…とりあえず飯だ。居酒屋でも?』
「もちろん」
俺たちは、ちょっと洒落た居酒屋でビールで乾杯した。
「意外だな…ワインしか飲まないかと」
『酒は何でも好きだ』
「で?話って?」
『ああ、初めてなんだ。他人に興味を持つ事自体が…』
「は?」
『昔からモテてたよ、特に男にな。でも何も感じなかった、女性にもだ。俺は人を好きになれない人種だと思ってたんだ。だから誰かと一緒に過ごすなんて考えてもいなかった。自分以外に興味さえなかったからな』
「じゃあ、身体もまっさら?」
『ああ、童貞ってやつだ』
「マジか…あんなに敏感なくせに…」
『で?あなたも正直に話して』
「ああ…引くなよ。俺は遊び人だった。恋人は作らず、一夜の関係ってやつ…ばっかりだった」
『なぜだ?』
「セックスが好きだ。ただそれだけ、そこに愛はいらなかった。あなたに会うまでは…」
『俺に会って何が変わった?』
「心も欲しくなった、あなた限定で。あなたに会ってから誰ともヤってない」
『これからも?』
「あなたが、俺の心からいなくならない限りは…」
『ふ…プレッシャーかけんな』
「そんなつもりはない、好きになってくれるまでやれる事はする。無理矢理抱いたりは絶対しない」
最初のコメントを投稿しよう!