私への『罰』

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私への『罰』

「…。」  主人は無言。  表情は仮面で見えないため、何を考えているのかも分からない。 「…ご、御主人様、私…」  エイミは何とか小さく震えながら切り出す。 「私…御主人様に、罰を受けていたのに…」  昨晩、泣いてばかりの自分を、力加減も無く強く抱きしめた主人。  あれが、主人の言うことを聞かねば罰を与える、という意味だとすると、自分はなんとおそれ多いことをしたのだろうとエイミは思った。 「…罰、だと…?」  主人の声色が少々困惑しているように聞こえ、エイミは必死に続ける。 「許して下さい…泣いてばかりいて、声を出せという命令に背いたあの罰に、耐えなきゃいけなかったのに…」 「…お前は…」  聞いていた主人の手が止まる。 「…。」  表情の見えない主人を前にエイミは黙り込み、震えは止まらなくなった。 「…ならば、もっと…罰を…」  主人はそう言うとエイミを抱きしめた。  昨晩のように強くでは無かったが、逃さない、という意思が伝わってきた気がした。  主人の思いは未だに全く分からない。  エイミは優しく、だがしっかりと抱きしめられた身体の代わりに、胸がざわついたまま締め付けられている気がして苦しくなる。  両親がよくしてくれた、あの優しい抱擁の時とはまるで違うように感じた。 (これが、御主人様から私に与えられる、罰…)  エイミは静かに目を閉じ、自分を抱きしめ続ける主人にいつ力を込められるかを思い震えながら身を任せた。
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