断じて嫉妬などでは、ない

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 制服を着ていた事から、相手は恐らく高校生と思われる。  今時のヤンチャな男の子らしく、耳にはピアスが複数輝いているけれど、それでも高貴な雰囲気がスマホの画面越しでも伝わってくるような、そんな気がした。  西園寺さんもTHE セレブって感じだけれど、その子の放つ雰囲気も彼同様、僕とは別の世界で暮らしてるんだろうなって感じがする。    仲良く肩を組み、楽しそうに笑う二人の写真を見て、何となく不快な気分になった。  だけど天の邪鬼な僕はにっこりと微笑み、告げた。 「ホントだ、可愛い子ですね。  あ、そうだ!いつも来て貰ってるから、店長にサービスするように言われてたんでした。  唐揚げ一個ずつ、おまけしておきますね」  苛立ちは綺麗に隠したつもりだったけれど、いつもより少しだけ早口になってしまった。  それには気付かないのか、西園寺さんはまた嬉しそうに笑って答えた。 「ありがと、陸斗くん。  彼はまだまだ育ち盛りだから、助かるよ」  ちょっと心配そうに、僕の方をチラリと盗み見るハラちゃん。  笑顔のままこっそりと、カウンターの影に隠れて彼の足を軽く蹴っ飛ばした。   *** 「あの、変質者め。  ホモでストーカーな上、ショタコンとか‥‥‥本当に最悪だな!」  西園寺さんが、今日も今日とて二見さんに引き摺られるようにして帰った後。  僕は忌々しい気持ちで、つい毒づいた。  するとハラちゃんは、やれやれといった感じで肩をすくめて見せた。 「全く‥‥‥陸斗はホント、素直じゃないよな。  男の嫉妬は、見苦しいぞ?」
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