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嫉妬‥‥‥?僕が?
さっきのあの、綺麗な男の子に対して?
あまりにも予想外なその言葉に驚き、思わず大きな声が出た。
「なんで僕が、嫉妬なんてしないといけないんだよ?
むしろあんな子がいるなら、そっち一本に絞れば良いのに。
あの、節操無しめ!」
ますます苛立ち、軽く左右に頭を振る。
するとハラちゃんは、ちょっと困り顔で笑った。
「本当に、それでいいの?
いい加減、素直になれば良いのに。
俺は西園寺さん、全然ありだと思うけどな」
もちろんだ、良いに決まっている。
そう答えてやりたいのに、グッと言葉に詰まってしまった。
「多少のツンデレなら可愛いかもだけど、それも度が過ぎると……ねぇ」
チクチクと、続く嫌味。
下を向き、自身の足元を見つめたままボソッと呟いた。
「だって、仕方ないじゃないか。
……僕と彼とでは、住む世界が違うんだから」
その言葉を聞いてハラちゃんは小さく溜め息を吐き、それから僕の頭をワシワシとちょっと強めに撫でた。
「あのなぁ、陸斗。
住む世界が違うって、なんだよ?」
急に真剣な表情で覗き込まれ、聞かれた。
だけど答えに詰まり、激しく動揺しながら思わず目をそらしてしまった。
「あの人は月とか、火星とかに住んでんの?
それとも、アレか?
異世界から転生してきた、王子様か何かなのか?
違うよな?……そんな事言うと、西園寺さん悲しむぞ」
確かに彼の言うように、西園寺さんは大きなくくりでいうと僕と同じ人間だ。
そんなのは、僕だって分かってる。
……ただ同じ人間ではあるけれど、やっぱり住んでいる世界が違うとしか思えない。
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