無駄に、ハイクオリティ

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 しかし昼間に考えたように、今日は彼の提案に乗ってみる事にした。  そう‥‥‥西園寺さんが冷たくされ慣れていないせいで僕に執着しているのだと言うならば、優しく接する事で彼の溺愛とストーカー行為を回避するという例の作戦を決行する事にしたのだ。 「ありがとうございます、西園寺さん。  でも僕、これから夕飯のための買い物に行かないといけないので、自宅に送って貰う前にスーパーにも寄って頂けますか?」  初日以降、久しぶりに交わしたまともな会話。  そんな反応はまるで期待していなかったのか、彼は驚いた様子ではあったもののすぐに邪気のない笑みを浮かべて言った。 「もちろん!  喜んで、付き合わせて貰うよ」  素直に喜びを表現する西園寺さんを前に、さすがに全く罪悪感を感じないワケでは無かったが、もう後には引けなかったから再び自転車を駐輪場へと戻した。 ***  勤務時間外の運転は秘書の二見さんではなく、西園寺さんが自らしているらしい。  そのため言われるがまま乗り込んだ車内には、僕と西園寺さんの二人きり。  気まずくないと言えば嘘になるが、幸い彼は前の運転席に、僕は後部座席に座っているから、何か妙な真似をされるなどという心配もない‥‥‥はずだ。  もしやちょっとセレブ向けの、高級品ばかり売られているバイト先近くの西城岩井などに連れていかれたらどうしようと考えたものの、杞憂に終わった。  そしてそれを笑いながら口にしたら、彼は満面の笑みを浮かべ思わぬ事を言った。 「うーん‥‥‥だって陸斗くんの御用達は、少し離れてるけどこっちのスーパーでしょ?  今日は俺も買い物に付き合うつもりだから、いつもはひとつしか買えないお一人様1パック限りの卵も、ふたつ買えるね」
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