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そうしてヒーローママンはパパに戻った。
私は泣き疲れて寝て、朝起きたらママがいなくてまた泣いた。朝ご飯にホットケーキを作る!、とまたヒーローママンに変身したけどなんだかモサモサして黒っぽいホットケーキだった。
ママが作ったふわふわの茶色いケーキが食べたい。
ホットケーキが美味しくなかったからか、ヒーローママンも気づいたらパパに戻っていた。
「パパ、それはなつようの制服だよ。ふゆようはこっちだよ」
「ええ? もう一体何がどこにあるのか……」
「パパ、タオルはここだよ。顔を拭くのはここだよ。幼稚園にもっていくちっちゃいタオルはこっちだよ」
「……ネクタイは、どこだろう」
「ママはいつもここから出してるよ。しわしわなのはここでシューってするよ」
「そう……か……」
「パパ、お弁当は?」
「え、毎日給食じゃないのかい?」
「違うよ。給食とお弁当の日があるんだよ」
「俺のお弁当が必要ないからてっきり……楽してるんだと……」
「パパ、お弁当がない子はパンでもいいよって先生が言ってたよ。パンを買いに行こう」
「……うん……そうしようか……」
ヒーローママンはダメだったけど、パパはもっとダメだった。
ママがいない間、パパの面倒は私が見て上げなくちゃって、泣いてる場合じゃないって、私がヒーローママンになろうって決めた。
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