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またある日。
今度私が走る"デビュー戦"って競走で乗ってくれる、"騎手さん"に会った。
この人もね、変なの。
初めて会った筈なのに、私の上に乗った途端、
「っ……そっくりだ。
懐かしいな、この背中っ……」
そう言って、私の首に抱き着いて泣き出しちゃったの。
ちょ、ちょっと〜泣かないでよ!
それにそんな乗り方されたら歩きにくいわ〜!
……でも、ね。
走り出すと、不思議なの。
まるで私の事を分かってくれているかのように、邪魔をしない。走りやすい。
ーーよしっ!
もっとスピード上げちゃうよ〜!!
今までより速く走ったら、またみんなが嬉しそうに微笑ってくれた。
そして迎えたデビュー戦で、私は幼い頃からずっと分からなかった事がやっと分かるんだ。
……
…………。
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