走り出す

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またまたある日の、秋ーー。 今までで1番大きな運動場で、私はたくさんの馬達と走る事になる。 『順調にゲート入りが行われております。 京都競馬場、芝2000メートル。秋華賞(しゅうかしょう)と同じ舞台で、若駒(わかごま)達が走ります。メイクデビュー戦』 初めて聞く実況。 『ダントツの1番人気は幻の三冠牝馬(さんかんひんば)シラヒメの娘、1枠1番シラクモ。すでにゲート内に収まっております』 お母さんの名前と一緒に呼ばれる、私の名前。 『母が果たせなかった夢の続きをこの同じ競馬場(場所)で、同じ1枠1番からスタートします』 それを聞いた瞬間、お母さんの言葉を思い出した。 《お母さんはね、みんなの夢を叶えられなかったの》 …… …………そっか。 お母さんの夢は、途中で止まっちゃったんだね。
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