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「…──カリ…ッ
アカリ…
しっかりするんだ、アカリ!!」
アカリは誰かに体を揺さぶられて、ハッと気がついた…!
「…!
トキオ、お兄ちゃん…!」
アカリの体を揺さぶったのはアカリの兄であり、長男のトキオ(当時14歳)だった。
その傍らにはトキオのパートナーのルカリオがいて、アカリの悲鳴にびっくりして目を覚ましたのだろう、やや動揺した様子を見せているピチューを宥めているのが見受けられた。
「アカリ、大丈夫か?
お前の悲鳴が聞こえて、お前に何かあったのかと思い、急いで自分の部屋からここに来たんだ…!
そしたら、お前、うなされていたみたいで寝ながら悲鳴を上げていて、それで──…と…!∥
アカリ…?」
アカリはトキオの胸に顔を埋めた…。
「…私、夢の中でお父さんに会えたような気がしたの…。
でも、そこに大きなポケモンが現れて、私、とおせんぼされちゃって……それ以上、進めなくって…。
それに、私、そのポケモンに襲われそうで、ちょっと恐かった……。」
アカリはそう言って一筋の涙を流した…。
「……そうだったのか…
恐い思いをさせてしまい、すまなかった…っ」
トキオはそう言ってアカリをギュッと抱きしめた…。
「…∥
どうして、お兄ちゃんが謝るの…?」
「あ、いや、それは、その…!∥
なんて言うか…ほら、こうしてお前を守ってやる事が出来なかったから、それで…!」
「ふふ…
ふふふふ、トキオお兄ちゃんがこんなに動揺してるなんて珍しいわ。
面白いお兄ちゃん(笑)」
アカリはクスクスと笑った。
「わ、笑うなよ、アカリ…∥」
「ふふ、ごめんなさい…
本気で心配してくれたのよね、ありがとう。」
「あ、ああ…まあな。
だが、やっぱりその方が良いな、お前は…。」
「え?」
「俺は、泣いているお前より、
そんな風に笑っているお前の方が好きだということだ。」
「トキオお兄ちゃん…∥
…な、何よ、さっきは笑うなって言ってたくせに。」
「あ、それはだな──…
と…」
アカリは再びトキオの胸に顔を埋めた…
「…嘘、冗談よ。
ありがとう、そう言ってくれて…とっても嬉しいわ∥
私もトキオお兄ちゃんの事が大好き。」
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