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「ア、アカリ……∥」
「ねぇ、トキオお兄ちゃん…
お兄ちゃんは…
お兄ちゃん達は、いなくならないよね…?
お父さんみたいに、私とお母さんの前からいなくなったりしないよね…?
ずっと、私のそばにいてくれるよね?」
アカリはそう言って上目遣いでトキオを見上げた…それを見たトキオは胸が高鳴ってしかたがなかった…。
「アカリ……。
…──ああ、勿論だ
俺達はお前と母さんの前からいなくなったりしない…
これからもずっとお前と母さんのそばにいる。」
「本当に…?」
「ああ、本当だ。」
「約束よ?」
と、アカリは右手の小指をトキオの前に差し出した。
「ああ…約束だ。」
トキオはそう言って自分も右手の小指を差し出し、アカリと指切りを交わした。
「…さ、アカリ、そろそろ寝るんだ。
明日からミナト君やジュン君と一緒にコトブキシティのポケモンスクールに通うんだろう?
初日から遅れたりしたら大変だぞ?
何より、遅れたらまたジュン君に『罰金1000万円な!』…とか言われかねないだろ?
ほら、ピチューも…
お前の事も起こしてしまってすまなかったな。」
トキオはそう言ってルカリオからピチューを預かると、アカリとピチューを一緒にベッドに寝かせた。
「ふふ、お兄ちゃん、ジュンの言い方そっくり(笑)
まあ、実際に罰金取られた事はないけどね。
口先だけよ、あんなの。」
「当然だ、
実際にそんな事してみろ、俺達が絶対にジュン君を許さない。」
「ふふ、本当にそんな事したら大変ね、ジュン…。
ねぇ、トキオお兄ちゃん…私が眠るまで手、握っててもらっても良い?」
アカリはそう言って左手をトキオに差し出した。
「…まったく、
甘えん坊だな、お前は──…
分かった。」
トキオはそう言ってアカリの左手をそっと握った…。
「ありがとう、トキオお兄ちゃん…
大好き…。」
そうして、アカリは安心したように、やがてピチューと一緒にスースーと寝息を立てて眠ってしまった…。
トキオはそのアカリの寝顔を眺めながら、
「まったく…
かなわないな、お前には…。」
と、嬉しそうに口元に笑みを浮かべたのだった…。
すると、そのアカリの部屋のドアがトントンとノックされ…!
「…クウヤか
入っていいぞ。」
トキオがそう言うと、ガチャッとドアが開き、中にクウヤ(当時14歳)とそのパートナーのミロカロスが入って来た。
「アカリ、寝たようだね。」
「ああ、なんとかな…。
それにしても、やはり強い…!
アカリの力は──…っ
最近、あのお方の夢をよく見るようだ…
たとえ、夢の中だとしても、今はあのお方に会わせるわけにはいかない…!
そう思って、俺はアカリのその夢の中に入り、力付くで彼女の夢をねじ曲げる…っ
それだけで俺は疲れる…アカリの体に負担をかけないようにと気を遣う分、力の消耗が激しいからな……。」
「しょうがないよ…
それだけ、あのお方に対するアカリの思いが…
父親に会いたいという、娘としての思いが強いって事でしょう?
あのお方だって、こんなに愛娘に想われているんだもの、これほど嬉しい事はないんじゃない?
喜ばしい事だよ…。」
「それは、そうかもしれないが…
だが、俺の身にもなってみろ。
アカリの力を押さえる事は、あのお方の力を押さえるのと同じ事だぞ…。」
「あぁ、そうだね…ごめんね、君にそんな大変な役を押し付けて…。
でも、そのおかげで、アカリと良い雰囲気になれてるんだから結果オーライなんじゃない?
ホント、羨ましい限りだよ、まったく…。」
「…くだらん、
俺は別にそんなつもりは…「またまた~、本当は嬉しいくせに~。
アカリ、最近すっかり女の子らしくなって来たよねぇ…胸も膨らんで来たしさ、まだ10歳だけどね、見た目はすっかり見目麗しいレディーに成長したよ。
流石は美形のあのお方の娘、それに俺達の妹だよ、これからますます綺麗になって行くだろうねぇ。
君もそんなアカリを見て、内心ドキドキしていたんじゃない?」
「だ、だが、中身はまだまだ子どもだ…!∥さっきだって寝るまで手を握ってくれとそう頼んで来たしな…「な~んて言って君もちゃっかりアカリの手を握っちゃって、しかもまだ離さないと来た…これでもアカリを異性として見てないと、断言出来る?」
トキオはハッとしてとっさにアカリの左手からパッと手を離した。
それを見てクウヤは勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
「まったく、相変わらず素直じゃないよね、君は…
でも、言っとくけど、抜け駆けは許さないからね?
僕と君は対になる者同士…
ゆえに、君と僕のアカリへの想いは同じなのだから──…
その事、忘れないでよ?」
「やめろ…俺はそんな破廉恥な目でアカリを見てなんかいない!
お前と一緒にするなっ!
…ハッ!」
と、トキオは思わずアカリの方を見た!
一方のアカリは「う~ん…」と寝返りをうっていた…。
「しーっ、トキオ、大声出さないでよ、アカリの目が覚めちゃうじゃないか…!
まったく、君ってば興奮するとすーぐ大声出すんだから…なんて、ふっかけたのは僕か…
ごめんね、あんな事言って…。」
「ハァ、まったくだ…。
それより、母さんの様子は?
アカリがあれだけの悲鳴を上げたんだ…流石に起きたんじゃないのか?」
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