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「あぁ、それは大丈夫…「ってまさか、お前、母さんに何かしたんじゃないだろうな…!?」
「まさか…。
母さんなら、今のアカリと同じように寝返りはうっていたけど、幸いにも目を覚ます事なくすやすやと寝息を立てて眠っていたよ。
もし起きたならミロカロスの催眠術で再び寝かせようかと思ってたからね、その手間が省けて良かったと思ってる…というか、安心しているよ、心の底からね。
今、母さんのそばにはカゲトがついててくれてる。
アイツ、ああ見えて母さんの事けっこう想ってるみたいでさ…母さんの事は自分が一晩そばについて見てるから心配しないで、って言ってたよ。」
「それは、お前も…だろう?」
「フフ、まあね…
“あのお方”が好きになった人だからかな…不思議と、嫌いにはなれないんだよねぇ。
君もそうなんだろう?トキオ。」
「…まぁ、嫌いではないがな…。」
「君がそう言うなら、けっこう好きって事だよね?」
「フン…∥
だが、分かってるよな?
俺達はあのひとの子ども兼見張り役だ…。
あのひとが万が一我らと我らが主の真の正体を思い出し、それを誰かに言おうものなら、その時は──…!」
「…ハア、分かってる
忘れてないよ…その時はユクシーの力であのひとの記憶から何もかも忘れさせる…あのお方の事も、俺達の事も綺麗さっぱりね…。
でもさ、たとえ、アヤコ母さんが全て思い出したとしてだよ、それを誰かに言うなんて、彼女がそんな事すると思う?
何より、仮にも、アヤコ母さんは僕達をここまで育ててくれた恩人だよ?
その彼女のこれまでの記憶を綺麗さっぱり消すなんてこと、出来ないんじゃない?」
「……さあな…
それがあのお方の望みならば、俺はそれを実行するまでだ…。」
「ふぅ、ホント素直じゃないよね、君ってひとは…本当はそんな事思ってもいないし、したくもないくせに。
そもそも、あのお方がそんな事望むわけないじゃないか…!
あのお方はアヤコ母さんを心から愛しているんだ、そんな事出来るわけがない…!
何より、そんな事になったら、一番悲しむのはアカリなんじゃないのかい?
君だって、アカリを悲しませるような事はしたくないだろう?」
「………。」
と、トキオは眠っているアカリを見つめた…。
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