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「あなた達はまるで───…
むにゃむにゃ…。」
「アカリ、ピカチュウ、いい加減起きろ。
朝だぞ。」
「ガウウ。
(2人とも、起きろ。)」
アカリのベッドのそばには、20歳になった長男・トキオとルカリオが腕組みをしながら仁王立ちしていた。
「う~ん…
あと10分……。」
「ピカピカア~…。」
「ふぅ…
こうなったら、仕方がない…」
すると、トキオはアカリの耳元に唇を近づけ、そっと囁いた…
「アカリ、そろそろ起きないと…
俺はお前を襲ってしまうぞ?」
「ひゃああっ!?∥」
アカリがそう悲鳴を上げて飛び起きた瞬間、それにビックリしてピカチュウも飛び起きた!
「ピカピカア~!?」
「やれやれ…やっと起きたか、眠り姫。」
「な、なんだ、トキオ兄さんか…∥
ハア、びっくりした~…」
「“びっくりした”、はこちらの台詞だ。
相変わらずの悲鳴だな…
ま、目覚ましにはちょうど良いだろう。」
「冗談じゃないわ…!
ってか何今の…?」
「お前がなかなか目を覚まさないから、やむを得ず奥の手を使わせてもらったまでだ。」
「だからって今のはないわよ~∥
朝から変な気分になっちゃうじゃない…いつものように怒鳴って起こしてくれる方がまだマシだわ…。
あ~、まだ心臓がバクバク言ってる…∥」
「まったく、自業自得だろう…。
アカリ、お前ももう16だろ?
それにもうポケモンスクールを卒業した身だ、
そろそろ自分で起きる癖をつけてもらわないとこっちが困る。
俺とルカリオも暇じゃないんだからな?
起こしてもらえるだけ有難いと思え。」
トキオはそう言いながらアカリの部屋のカーテンを開いた。
「だからって今のはあまりにも…。「何より、今日はミナトとジュンと一緒に、ナナカマド博士と待ち合わせのためシンジ湖に向かうんだろう?
遅れたらマズイんじゃないのか?」
「あっ、いっけな~い、忘れてたっ!
トキオ兄さん、ルカリオ、着替えるから今すぐドア閉めて!」
「はいはい。
行くぞ、ルカリオ。」
トキオはそう言ってルカリオと共に部屋から出て行った。
「まったくもう、トキオ兄さんったら、あんな事言うことないのに~…
ホント、どうかしているわよ…。
『そろそろ起きないと…俺はお前を襲ってしまうぞ?』って、年頃の妹に向かって耳元であれはないでしょ、うん絶対ないわ(苦笑)」
と、そんな事をぶつぶつ言いながら着替えていたアカリは鏡に写った自分の姿を見ながら、ふと手を止めた…。
「(…でも、
トキオ兄さんになら、襲われても平気だったかな……∥
トキオ兄さんは、私の事、どう思っているんだろう──…?)」
「ピカピカ。」
「…あ、ゴメン!
手が止まってたわね、早く着替えなくちゃ…!
(…なんて、血の繋がった兄妹なのにそんな事あるわけないわよね…。
朝からそんな事考えるなんて、私もどうかしているわ…トキオ兄さんの事ばかり言われない。)
──これでよし、っと。」
そうして、着替え終えたアカリは「せっかくだし、ちょっとおめかしして行っちゃおうかな?」と言ってメイクをして唇には赤い口紅を付けると、やがてバッグを手に持ってピカチュウと共に部屋から出た。
と…
「やっと着替え終わったか。」
「って、トキオ兄さん!
いたの!?」
部屋を出て行ったはずのトキオとルカリオは相変わらず腕を組みながら壁に寄りかかってアカリを待っていたようだった。
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