デコレーションにピストル 4

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デコレーションにピストル 4

4 一限が終わって、窓際の席からグラウンドを覗くと、バスケットゴールに向かって数人の男子生徒に混じって白川先生が歩いて行くのが見えた。 先生は上着を脱いで、ネクタイを緩め胸ポケットに押し込むと、カッターシャツを腕まくりしてる。 初日から生徒とバスケかよ…馴染むの早くねぇ? ボンヤリ見下ろしていたら、後ろから青葉が肩を組んで来た。 「なぁ〜に見てんの?あ、白川じゃん。うっわ!エグッ!ダンクかっけぇ〜!あちゃ〜相手チームぼろ負けじゃん。」 「だなぁ〜…てか、あのタッパ反則だろ」 頬杖をつく俺の反対の頰を人差し指で突いた青葉がヒヒッと笑った。 「言える!…てかさ、出席取ってる時さ、白川にお前何言われたの?席離れてて聞こえなかった」 「え?…あぁ…何か名前?ほら…秋に空って 綺麗な名前だなって…」 「…へぇ…白川、そんな事言ったんだ」 「うん…ありゃ、天性の人たらしだな。俺ちょっとドキっとしちゃったわ!おっ!ナイッシュー!」 「人たらし…ねぇ…」 青葉もグラウンドを覗きながら呟いた。 そうしたら、バスケットをする白川先生がヒョイと顔を上げる。 視線がぶつかった気がして、ビクッと身体が固まった。 そうしたら、白川先生が、ブンブン手を振ってくるもんだから、相手が俺かも分からないのに、つい手を振り返してしまう。 白川先生は満足そうに俺に人差し指を高く掲げて、ボールを華麗にドリブルして離れた場所からシュートした。 ボールは綺麗な弧を描いてザンッとネットを揺らす。 またこっちをみてピースサインするから、思わず吹き出してしまった。 白川先生はカッターシャツがスラックスから出て、遠目だと制服を着崩したヤンチャな生徒に見えたからだ。 その時、青葉が俺の肩を掴んで 「次、移動教室だ。行こうぜ」 と低く呟いた。
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