デコレーションにピストル 6

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デコレーションにピストル 6

6 「あ〜おばっ!」 「ぅわあっ!ビビったぁ…何だよっ!驚いただろっ!」 風の強い屋上。 青葉はフェンスにもたれるように眠っていた。 そこへソロリと近づいて、声をかけたら、酷く驚いて、俺は緊張していた肩の力を抜いた。 「ここに居るとおもったんだ。良かったぁ。」 呟きながらプリプリ怒る青葉の隣りに座り込む。 「何が?」 「へ?」 「だからっ!何が良かったなわけ?」 青葉は投げ出した長い足を片方だけ胸元に引き寄せ膝に頰を寝かした。 「喧嘩したのかと思っちゃったじゃん。ほら、そういうの小学生の時以来じゃん?俺、マジで焦ったかも。」 ハハッと笑って隣りの青葉を見ると、青葉は真顔で俺を見つめていた。 笑っていた顔がピタリと固まってしまう。 青葉はゆっくり俺に手を伸ばして… 俺はジリジリ迫る手に顎を引いて後ずさってしまう。 ガシャンとフェンスに後頭部がぶつかり、もう下がれないって瞬間、青葉がニッコリ笑って言った。 「ほら…桜の花弁!おまえどこで付けて来たのよ」 髪に触れた指先には、薄い薄いピンクの花弁が一枚。 俺は慌てて立ち上がってフェンスにガシャンと指をかけて溜息を吐きながら項垂れた。 「はぁ〜〜っっ!もう〜っ!マジビビった!俺、一瞬キスされんのかと思っちゃったじゃんよっ!はっずかしぃ〜!!」 「アハハっ!!秋空めちゃくちゃ不安そうな顔してたもんなっ!驚かされたから、お返しなっ!」 「おいぃ〜!やめろよ〜っ!そういう冗談っ!」 アハハハと屋上で笑い声が響く。 青葉の様子が変だと思ったのは勘違いだったみたいだ。 最近の青葉はいつの間にか俺の身長を抜いて、肩周りの筋肉なんかもしっかりして来たせいか、押され気味な雰囲気になる事がたまにある。別に特別俺がチビな訳じゃないけど、アイツが育ち過ぎなんだよな。 昔は俺の方が身長だって運動だって出来たのに。 いつまでも何でもかんでも一緒ってわけには行かなくなるんだよなぁ。多分、これからはもっとそうなる。 高校生活もあと二年だけ。あっという間に過ぎるだろう歳月を感じて、スラックスに突っ込んでいた手をギュッと握った。
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