デコレーションにピストル 76

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デコレーションにピストル 76

76 朝、飛び起きたら隣に冬空は居なかった。 ソッと寝室を出たら、リビングにメモが残されている事に気づく。 "学校には休みを連絡しておく。身体、無理させて悪かった。" 冬空の居ない部屋をぐるっと見渡す。 大した荷物もなくて、冬空が居ないだけで随分広く感じた。 携帯の画面を見つめて、気が重いのを隠せないまま春子さんの携帯を鳴らした。 きっと心配してる。 探し回ったんじゃないだろうか。外泊で連絡をしない事なんて今まで一度だってない。あってもちゃんと連絡をして、青葉の家に泊まるくらいだ。 なんと言えば良いか、考えても答えが出ず、とりあえずすぐに連絡をしないとマズいような気はしていた。 コール音が辛い。 「はい、秋空?どうしたの?」 いつもとなんら変わらない春子さんの声に、逆に俺が驚いた。 「ぁ…あのっ!えっと…」 「何ぃ?今再放送のドラマ観てんの!昨日青ちゃんちさ、夜ご飯なんだった?」 「え?…昨日?」 「うん…帰り遅いから青ちゃんに連絡したら、はしゃぎつかれて寝ちゃったから泊まらすって言われの。」 「あぁ…え〜っと…ハンバーグ…ハンバーグだった。」 「そう、わかった!じゃ、今日はカレーだ!切るね!ドラマ良いとこなの!バイバーイ」 「ぅ…うん、じゃ」 俺は口を手で塞いだ。 青葉が上手くやってくれたんだと分かった途端、足腰の力が一気に抜けてしまい、へたり込んだ。 青葉は俺が外泊した事を 知ってる。 きっと… それがどこかも…知ってる。
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