デコレーションにピストル 79

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デコレーションにピストル 79

79 冬空と別れた俺は、道を渡り青葉の家のチャイムを鳴らした。 青葉が出て、勝手に上がるように言うから、頰をパンパン両手で叩いてから階段を上がった。 コンコンとノックすると、いつもと変わらないのんびりした声。 それでも俺は流石に気づいていた。 青葉が 緊張してることに。 「入るぞ〜」 中に入ると、青葉はベッドで教科書を見ていた。 「中間勉強…もう始めてんの?」 俺は勉強机の方の椅子に腰を下ろした。 「ん〜…あぁ…まぁな。」 「……昨日さ…」 「うん」 「春子さんがさ…」 「うん」 いい加減な返事に唇を噛んだ。 黙って俯いてしまう。 ギシッと音がして、青葉が起き上がったのが分かった。 上目遣いに恐る恐る青葉に目をやると、青葉は苦笑いしながら俺を見た。 「悪りぃ…意地悪した。」 「いや…い、いいんだ…」 「春子さんから連絡あったよ…秋空そっちに行ってないかって」 「あぁ…うん…」 「昨日は俺も秋空が怒るの分かって焚き付けたし…お詫びみたいなもん…白川んとこに居たんだろ?」 「……うん」 「…秋空……白川が…好きか?」 俺は俯いてから、息を吐き、青葉を見つめた。 「好きだ…冬空が…好きだ」 青葉は肩を竦めて、ドサッと上半身をベッドに倒した。 「男なんか興味なかったくせに…とんだ横槍が入ったもんだぜ…」 「青葉…俺、ちゃんと考えてきた。おまえの気持ちとか、最初こそ分かんなかったけど…だんだん分かるっていうか、ちゃんとしなきゃって思ってて…俺っ…青葉が好きなのは本当だよ!凄く大事で、大切で、失くしたくない。でも、それは…青葉が思ってる好きと、少し違ってて…家族っていうか、親友で、幼馴染みで、兄弟みたいな…恋人より…多分ずっと深いところで…おまえが好きなんだと思う。」 青葉は顔の前で腕をクロスにして黙っていた。 椅子から立ち上がった俺は、ゆっくり青葉に歩み寄る。 「青葉…泣いてるのか?」 ベッドに手をついて青葉を覗き込む。 そうしたら、青葉はグイッと俺の腰を抱き寄せた。 俺が乗り上げる形で目が合う。 「秋空…」 「青葉…ダメだって…」 「…あぁ…これだけバッサリ振られたら、いい加減諦めないとカッコ悪いよな…」 青葉の言葉にズキンと胸が痛む。 「キスしよ…これが最後だ。俺と秋空は…ちゃんと幼馴染みに……戻る」 「……俺からは…しないよ」 真っ直ぐ青葉を見つめると、苦笑いした青葉は俺の頰を包み囁いた。 「…大好きだ…秋空…ごめん…ごめんな…」 そう言って、唇が微かに触れるだけのキスをした。 俺はどうしてだか泣いてしまい、青葉に抱きしめられ、わんわん泣いた。 青葉はそんな俺を ただ黙って腕の中で 甘やかした。
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