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絵を描いていた時、世界は色で溢れていた。
この世の中には一体何色の色が存在しているのだろうか?
そう思える程に鮮やかに見えていたんだ。
そしてそれを思いのままに描く。
目の前に広がる世界が「絵の具」というツールを通して「キャンバス」という世界の中で形を変えて、僕という存在に彩られていく。
「・・・なぜなんだ・・・なぜ・・・」
神は与え、そして奪いもする。
そんな言葉を思い出した。
気まぐれな神の悪戯で、僕は何よりも大切な物を失った。
乾ききった砂漠の砂のように満たされることの無い感情だけを残して。
手元に残されたのはもう使われることのない画材達。
そして思い通りに描く事が出来なかった絵。
「これからどうしたら・・・。」
何も出来ず、ただ毎日を過ごすだけの日々が続いた。
そう、ただ過ごすだけの日々が。
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