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小さな会場には疎らに人が訪れている。
みんな思い思いに写真を見つめながらいい表情をしている。
(ああ・・・何故だろう。この光景に心が落ち着く。そうか。絵画を見つめている人達と同じ様な表情をしているからだ。)
「これは・・・!」
1枚の写真が目に止まった。
その時だ。まるで恋に落ちた瞬間のように胸を焦がされる思いが止まらなかった。僕の感情が走り出す。
息が苦しくなるほどに・・・。
この空間だけ違う時間が流れているかのようだ。
『燃ゆる海』
鮮やかな紅に染る空と、それを映し出し同じ色をした海。
まさに海が燃えている。
煌々と燃える炎の様に空と海とが紅く、鮮やかに輝いている。
これは・・・1枚の絵画だ。
目に映る物語が語りかけてくる。
どれ程の時間見惚れていたのだろうか。
気付けば辺りは暗くなっていた。
静寂の中、僕は夢心地でこの空間の中に包まれていたのだ。
写真は・・・絵と同じだ。
僕は・・・また絵を描く事が出来るかもしれない。
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