初めましてこんにちは、どん底三十路女です

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「それ、月曜の資料?」 「はい、お休みの前に目を通したくて」 「なにか気になるところでも?」 「そういう訳ではないのですが……なんだか不安で」 答えると、二階堂部長は白い歯を見せて笑った。 「谷川さんなら大丈夫、僕が保証する」 ああ、癒される。 陽介がいなかったら、間違いなく恋に堕ちていただろう。 極上の笑顔を堪能しながら、私も笑みを返す。 「ありがとうございます、そうですね……そろそろ帰ります」 「うん、心配しなくていい。当日はなにがあってもフォーローするから、土日はしっかり休むんだよ」 頼もしい言葉にようやく安心し、パソコンの電源を落とそうとしたときだった。 「え……谷川さん、もしかして今日、誕生日だった?」 部長が、2つある卓上カレンダーのうち、私用の方を指差した。 6月6日金曜日、本日の欄には『my birthday・6時半、プランタン前』と小さく書き込まれている。 「ああ、消し忘れてました」 「もう8時過ぎてるけど」 本当は、陽介とデートの約束をしていた。 でも『クールンルン』のプロジェクトが大詰めを迎えているので、落ち着いてから祝って貰うことにしたのだ。
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