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耳元でカサリという音がした。
同時に視界に映った、黒い影――。
「ひっ、ぎゃああああああっ!!」
絶叫した。
同時に扉をけ破り、転がり出た。
正面には諸肌を脱いだ、陽介と会社の後輩。
背後からは、黒い悪魔、Gから始まるあの虫が私を見つめている。
四面楚歌ならぬ、二面楚歌。
だからといって、左右に逃げればいいという問題ではない。
「なな……み?」
陽介がバカみたいに口を開いている。
営業部の後輩、松本凛は、睫毛バキバキの目を見開いて固まっている。
やがて凛が悲鳴を上げた。
「いやあああっ!」
剥き出しになった、大きなおっぱいを両手で隠す。
「凛っ、大丈夫かっ!?」
「大丈夫か、じゃないわよ、この浮気男っ!」
「浮気じゃないもん、本気だもん! 陽ちゃんは凛のことを、いちばん愛してくれてるんだからあっ!」
大粒の涙をまき散らしながら、陽介に抱きついたおっぱい女。
彼はおっぱい女の背中に優しく手をまわすと、キメ顔でこう言った。
「帰ってくれ、俺は凛を愛している」
6年の絆は――おっぱいに負けた。
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