初めましてこんにちは、どん底三十路女です

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耳元でカサリという音がした。 同時に視界に映った、黒い影――。 「ひっ、ぎゃああああああっ!!」 絶叫した。 同時に扉をけ破り、転がり出た。 正面には諸肌を脱いだ、陽介と会社の後輩。 背後からは、黒い悪魔、Gから始まるあの虫が私を見つめている。 四面楚歌ならぬ、二面楚歌。 だからといって、左右に逃げればいいという問題ではない。 「なな……み?」 陽介がバカみたいに口を開いている。 営業部の後輩、松本凛は、睫毛バキバキの目を見開いて固まっている。 やがて凛が悲鳴を上げた。 「いやあああっ!」 剥き出しになった、大きなおっぱいを両手で隠す。 「凛っ、大丈夫かっ!?」 「大丈夫か、じゃないわよ、この浮気男っ!」 「浮気じゃないもん、本気だもん! 陽ちゃんは凛のことを、いちばん愛してくれてるんだからあっ!」 大粒の涙をまき散らしながら、陽介に抱きついたおっぱい女。 彼はおっぱい女の背中に優しく手をまわすと、キメ顔でこう言った。 「帰ってくれ、俺は凛を愛している」 6年の絆は――おっぱいに負けた。
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